ETCの利権を斬る!

2輪車は、高速道路で1番高い乗り物になるか?


平成16年9月24日、日本道路公団から高速自動車国道にかかる料金認可申請案(概要)が発表されました。
現状では2輪車用ETC車載機が販売されておらず、ETC割引を強行してしまうと非常に不利な立場となってしまいます。
ここではその件について、検証してみました。

高速道路の車種区分はここです。


平成16年11月1日から実施
深夜割引(割引率30%)

目的:深夜の料金割引を実施し、高速自動車国道の夜間利用を促進
対象:午前0時から午前4時までの間に高速自動車国道を通行する全自動車のうち、ETCカードを使用して通行料金の納付を行おうとする利用者の自動車

(例) 東京〜名古屋間 (東名高速道)
 

2輪車

軽自動車

普通車

中型車

大型車

特大車

通常料金

\ 5,700

\ 5,700

\ 7,100

\ 8,500

\11,600

\19,200

割引料金

\ 5,700

\ 3,990

\ 4,970

\ 5,950

\ 8,120

\13,470

結論: 

深夜帯において、2輪車は普通乗用車よりも高いのである。



平成17年1月11日から実施
早朝夜間割引(割引率50%)

目的:(大都市近郊区間の)早朝深夜の料金割引を実施し、高速自動車国道の昼夜の利用バランスを適正化
対象:午後10時から翌午前6時までの間に高速自動車国道の大都市近郊区間内を通行し、かつ、利用距離が100km以内の全自動車のうち、ETCカードを使用して通行料金の納付を行おうとする利用者の自動車

[大都市近郊区間]
東北道(川口〜加須)、常磐道(三郷〜谷田部)、東関道(湾岸市川〜成田)、新空港道(成田〜新空港)、関越道(練馬〜東松山)、東名高速(東京〜厚木)、東京外環道(大泉〜三郷)、中央道(高井戸〜八王子)、名神高速(大津〜西宮)、中国道(中国吹田〜西宮北)、近畿道(吹田〜松原)、阪和道(松原〜岸和田和泉)、西名阪道(天理〜松原)

(例) 練馬〜東松山間 (関越自動車道)

 

2輪車

軽自動車

普通車

中型車

大型車

特大車

通常料金

\ 1,150

\ 1,150

\ 1,400

\ 1,600

\ 2,150

\ 3,500

割引料金

\ 1,150

\ 570

\ 700

\ 800

\ 1,070

\ 1,700

結論: 

早朝夜間帯において、2輪車は大型車よりも高いのである。

バイク1台走るのと、バイクを10台積んだトラックではトラックの方が安いのです。



平成17年1月11日から実施
通勤割引(割引率50%)

目的:通勤時間帯の料金割引を実施し、高速自動車国道を有効利用
対象:午前6時から午前9時までの間又は午後5時から午後8時までの間に高速自動車国道(大都市近郊区間を除く。)を通行し、かつ、利用距離が100km以内の全自動車のうち、ETCカードを使用して通行料金の納付を行おうとする利用者の自動車

(例) 名古屋〜浜松間 (東名高速道)

 

2輪車

軽自動車

普通車

中型車

大型車

特大車

通常料金

\ 2,150

\ 2,150

\ 2,600

\ 3,100

\ 4,250

\ 6,950

割引料金

\ 2,150

\ 1,070

\ 1,300

\ 1,550

\ 2,120

\ 3,470

結論: 

通勤帯において、2輪車は大型車よりも高いのである。



平成17年4月1日から実施
マイレージ割引(割引率:ハイカ同等)

目的:一般利用者に対し、利用頻度に応じてポイントを還元する方式により割引
対象:日本道路公団との契約に基づき本割引の適用を受けるための登録がなされたETCカードを使用して高速自動車国道の通行料金の納付を行おうとする利用者の自動車

割引ポイントの累計数還元額(通行料金に充当)
5,000円分走行 実質 5,200円分
10,000円分走行 実質 10,500円分
30,000円分走行 実質 32,500円分
50,000円分走行 実質 58,000円分

結論: 

割引率は全車変わらず、ハイカと同等である。
ただし、車載機を取り付ける費用分、損をします。





ETCによる料金割引の実施に向けた必要措置

平成16年9月24日、同時に発表された必要措置について、検証してみました。

■ JHによるETCカードの発行
>クレジットカードをご利用いただけないお客様にもETCをご利用いただけるようJH発行のETCカードを遅くとも民営化までには発行できるよう検討します。
>具体的には、一定額の保証金を事前にお支払いいただいたうえでご通行いただいた料金をお客様の銀行口座から引き落とすなどの保証金(デポジット)方式を検討します。
>なお、当面JHによるETCカードの発行がなされるまでの間は、回数券、ハイウェイカードの取扱いを継続します。

→ 割引を受けたければ強制的にETCカードを持たせられるが、それは現行のハイカも同じである。
   JHのETCカードは無料発行が望ましい。(もし有料なら、手数料・年会費等分の値上げになる。)


■ 二輪車のお客様への対応
>現在、学識経験者、国、関係公団、関係団体からなるETC普及活用検討委員会において検討を進めていただいておりますが、
>今後、早急に対応方針を固めていただくとともに、来春までには基本方針が示されることを期待します。
>なお、導入までに時間を要する場合には、遅くとも民営化までには、JHによるETCカードを用いて、マイレージの割引が適用できるよう対応を進めます。


→ JH発行ETCカードはマイレージの割引が適用できるとは書いてあるものの、深夜割引を適用するとは記述されていません。
   適用されないのであれば、大型車よりも料金が高くなる逆転現象になります。


■ ETCの普及に向けた施策
>関係公団等と合わせて、今後合計330万台に対し車載器購入支援を行うこととしています。
>このうちJHにおいては、当面以下の支援を行い、ETCの普及を図ります(車載器1台に対し1回限り)。


●11月中旬から、新たに車載器を購入されるお客様に対し、5,250円(税込み)を補助します。[30万台分]

→ この時点での2輪車の車載機の販売は到底無理があると思われます。(補助対象外)

●新たに車載器を購入されたお客様で、来年3月から受付を開始するマイレージ割引に申し込みされた場合に、料金から5,000円を割り引きます。[100万台分]

→ 2輪車の車載機は販売がこの頃に行われているかはまだわかりません。
   技術的な制約(振動・漏水等)が完了したとしても、販売数が満たないと判断されれば、メーカが製造しない恐れもあります。
   製造されても、車より高ければ買う人はいないかもしれません。
   また盗難された時に対する保険がないと、買う人はいないかもしれません。

   ※ 補助金の支出元は、我々の血税です。
     現在わかっている230万台分の補助金総額は、115億7500万円です。


■ ETCをご利用になるまでの諸費用の軽減
>ETCをご利用になるお客様の負担を軽減するため、財団法人道路システム高度化推進機構(ORSE)
>が徴収するセットアップ手数料などの価格低下を促すよう、関係機関等の一層のご尽力に期待します。
>また、車載器価格の低額化や、クレジットカードの年会費の無料化、さらに、車載器のビルドイン化等について一層のご尽力を期待します。

→ 財団法人道路システム高度化推進機構(ORSE)って何ですか?
   官僚の天下りです。ETCセットアップに係る情報(識別処理情報)を発行している所です。

→ 財団法人道路システム高度化推進機構(ORSE)にいくら取られているのでしょうか?
   識別処理情報の発行に必要なシステム等の整備・維持管理等の下記費用(発行料)
   オンラインの場合(専用の端末装置等により、専用回線を介して当該情報を発行する方法):525円(税込み)/件
   オフラインの場合(FAXで受付し、郵送でセットアップカードを送付する方法):1,050円(税込み)/件

   ETCセットアップ取扱店は、この発行料に管理費(人件費、通信回線費、端末使用料など)等をプラスして、
   セットアップに係る手数料として、ETC利用者に請求しています。
   だから不透明な請求書が届き、だから高いのです。
   手数料を取られるのであれば、事実上値上げになります。


■ 既存割引メニューの将来の集約化

●現在お使いの回数券割引については、高速道路において導入されている区間は均一区間等わずかであり、
  最近偽造が明らかになったことを踏まえれば、都市高速の100回券と同様にお客様の利用状況を見ながら廃止します。

→首都高速等の回数券は割引だけでなく、料金所での支払いの迅速化も効果としてあります。
  このまま廃止してしまってETCが普及しなければ、速達効果という意味でも逆効果となってしまいます。
  首都高の回数券を金券ショップで購入してる方にとっては、値上げが待っています。

●ハイウェイカード割引(1万円券以下)については、現在、高額券の廃止に伴う券種交換を行っていることを考慮し、
  代替措置を講じたうえで廃止することとし、早急にその方策を検討します。

→代替措置と言っても、ETCしかないと思われます。

●ETC前払割引についても、お客様がご自分の利用状況を確認できるよう一定期間を経た後にマイレージ制度に移行します。

→現状2輪車にはETCがないので、関係ないと思われます。




高速道路・自動車専用道路における、2輪車の疑問

福岡北九州高速道路公社(福岡都市高速・北九州都市高速)のサイトから
Q.バイクと普通車はなぜ同じ料金なのですか?
A.都市高速道路は、大量の都市内交通を迅速に処理することが求められることから、
渋滞の原因の一つとなる料金所における料金収受をできるだけ簡素化する必要があり、料金を普通車と大型車の二車種に区分しています。
車種区分を細分化すると、一台あたりの料金収受に要する時間が長くなり、料金所を先頭とする渋滞に拍車をかけお客様にご迷惑をおかけすることになります。
また、二輪車は、普通車と比べると車両自体は小さいものの、その特性から安全性を保つために、前後左右に大きな空間を必要とし、
車間距離を含めた道路の占有面積は、通常走行の場合、普通車と比べて大差ありません。このことから、二輪車についても普通車の料金を頂いております。

→ ちょっと待ってください。 ETC化されれば、料金所を先頭とする渋滞はないはずです。
   そうであれば車種による、適切な料金比率の設定が可能なはずです。
   ETC化を半ば強制しているのにも関わらず、2輪車料金の設定がまったく聞こえてきません。
   これは正しい説明と言えるでしょうか?


日本道路公団のサイトから
高速道路の料金について
高速道路の料金は、「償還主義」と「公正妥当主義」により決められています。
「償還主義」とは、開通後の料金収入によって建設費・管理費などの費用を料金徴収期間内に償還できるよう料金を設定する考え方をいいます。
また、「公正妥当主義」とは、お客さまの支払能力、すなわち負担力を加味して料金を設定する考え方をいいます。
具体的には、車種間に適切な料金比率を設定することや、他の交通機関の運賃や高速道路の利用効率などを総合的に勘案して、
社会的にみて正当で合理的な料金を設定することなどが挙げられます。

→ 社会的にみて正当で合理的な料金でしょうか?
   現状では、大型25tトラックが車両を改造して、100km/h 以上の速度で暴走しています。
   ひとたび事故を起こせば道路が破壊され、修復費用も膨大です。道路に対するダメージは、重量の三乗に比例します。
   破壊された道路標識は1個、1000万円単位の費用がかかります。
   過積載の大型トラックは道路を傷みを早めるほか、事故後の積載物の散乱の清掃にかかる人件費も馬鹿になりません。
   1ケタ国道では、過積載トラックによってできた道路の痛み(轍)が出来ています。
   高速道ではそれが許されないため、常に整備し続けているのです。高速料金にはそうしたお金が含まれているのです。

   2輪車は、その過積載トラックよりも、高速料金が高いのです。

   これは正しい説明と言えるでしょうか?


2輪車は降りられないICがある?
国土交通省はETC搭載車に限って、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)から高速道路に乗り降りできる専用インターチェンジ(IC)の実験を始めると、発表しました。
ETC専用ICにすることで、用地取得費の大幅な軽減、工事費の縮小化が可能で、今までICを作れなかった場所でも、可能となるようです。

[対象IC]
【東北自動車道】福島松川PA(福島)、長者原SA(宮城)、上河内SA(栃木)、那須高原SA(栃木) ・【山形自動車道】寒河江SA(山形) ・【関越自動車道】駒寄PA(群馬)、大和PA(新潟)、三芳PA(埼玉) ・【常磐自動車道】友部SA(茨城) ・【中央自動車道】双葉SA(山梨) ・【上信越自動車道】佐久平PA(長野)、新井PA(新潟)、小布施PA(長野) ・【長野自動車道】姨捨SA(長野) ・【北陸自動車道】黒埼PA(新潟)、入善PA(富山)、徳光PA(石川) ・【東海北陸自動車道】城端SA(富山)、川島PA(岐阜) ・【東名高速道路】富士川SA(静岡)、遠州豊田PA(同)、上郷SA(愛知) ・【中国自動車道】大佐SA(岡山)、加計BS(広島) ・【浜田自動車道】金城PA(島根) ・【徳島自動車道】吉野川SA(徳島) ・【九州自動車道】須恵PA(福岡)

→ ちょっと考えてみてください。
   2輪車ほど、大きな設備を要しない車はありません。
   その小回りの効く2輪車がETC専用ICを使えないなんて、馬鹿げていないでしょうか?

2輪車は環境にやさしい乗り物です。
4輪自動車に乗って買い物を・・・近所のスーパーに行くのにさえ、もはや車は日常生活に欠かせないものになっています。
その車の多くの割合で、一人乗りになっているのが現状です。
これが全部2輪車に変わったら・・・そんなことは無理があるでしょうが、排気ガスの低減、渋滞の解消が期待できます。
ETC化もまた、同様な効果があります。
残念ながらETC化を急ぐことだけを考慮され、排気ガスの低減、渋滞の解消について本当に論議されているのでしょうか?
今まで2輪車=悪、放置自転車=悪、という考え方でしか捉えられていなかったのですが、
これからの時代は新たな考えでも進んでいかなければならない・・・そんな気がしませんか?


リンク

●二輪車の利用を阻害する  高速道路の利用しづらさ(JAMA)
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